時鐘楼の梵鐘

 笠間の年越しと言えば、時鐘楼(じしょうろう)で打ち出す除夜の鐘。この音で、新年を迎える気持ちになる人も多いだろう。

 笠間の街に時の鐘(時鐘)が響くようになったのは寛文2(1662)年のこと。滝野一永(たきのかずなが)という町人が鐘つき堂(鐘楼)を建てたとされている。明治期に一時中断があったが、今も夕方には佐白山の時鐘楼の鐘が時を告げている。

 現在の鐘は3代目で、江戸中期に鋳造されたものだが、これがなくなりかけたことがある。戦時中の金属回収令により国に供出されることになったのだ。当時、この鐘を毎日つき、「鐘つき仙人」といわれた三浦豊実という人が、役人の前に立ちはだかり「俺の命を取ってから持っていけ」と追い返した。最終的に、火災や空襲を知らせる役目もあったため、供出を免れた。

 その後、鐘は昭和45年に佐白観音(現正福寺)境内に移り、平成13年に現在の「時鐘楼」に保存されるようになった。

 残念ながらこの年末に時鐘楼の鐘は鳴らなかった。「密」を避けるためである。次の大晦日こそ、平和を祈って響いて欲しいと、この鐘を守ってきた先人たちも思っているだろう。

笠間時鐘楼梵鐘

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