笠間市大郷戸にある古民家が、令和4年10月31日に国登録有形文化財となった。
古民家の建立は、江戸後期から明治前期とされ、
正確には文書が残っていないとのことで、不明。
ただ、釘隠しに、
最後の笠間藩主牧野家の家紋である「丸に三つ柏」が用いられていたり、
式台玄関が備わっていることなどから、
牧野家と密接な関りがあるとされている。
わかっていることは、最後に富田家が住宅として使っていて、
現在は笠間市所有で、貴重な大規模で質の高い近世民家であり、
富田家住宅と称している。
先日、その建物を拝見する機会があった。
通用玄関から中に入ると、ひんやりとした空気に包まれ、
今は見かける機会の少ないたたきの広い土間があった。
土間からいろりがあった部屋は、12畳の畳敷き、
天井には手の込んだ煙抜けの工夫がみられた。
そこから鍵の手に進むと、畳敷きの部屋が更にL字に6部屋続く。
1部屋8畳敷と12畳敷があるが、
欄間も見事で、東郷平八郎の書「守忠節」も掛けられていた。
一番奥の部屋には、平書院と付書院がある。
1枚戸や襖絵、細かな障子の組子など、
ひとつひとつの建具が、令和の今日に至るまで、
よくここまで当時の状態で維持されていたと感心しきりだった。
今後、この古民家は、公開活用に向けて検討されているとのことで、
笠間の歴史の貴重な建物になっていくことと思う。
Comments